Seluaは、自分の中の相反する存在を統合する力。嫌いな人を憎む自分と、許したいと思う自分がいるとき、その間を取り持つことができるのは思考だ。感情は、どちらかというと今に存在する。現在でなくても、そのときの感情はその瞬間のものだ。思考は未来と過去とを行き来することができる。今は憎い気持ちもあるが、許したいとも思っているから、いつか許せるようになりたい。傷があることを認め、それを時間に委ね、手放すという判断ができるのは、痛みに振り回されずにそこから一定の距離を置くことのできる思考の強みだ。思考とは、他者を断罪したり、自分を責めたりするためにあるわけではない。一見矛盾する自分自身を客体視すること。一歩下がって自分の眺める力のことである。